📜 電池の歴史① 屋井乾電池

 —身近な「乾電池」を生み出し、日本の暮らしを変えた発明家

日本で初めて電池を製作した人物は、幕末期の佐久間象山(さくま・しょうざん)とされています。当時の電池は電解液を用いた「湿式電池」であり、取り扱いに手間がかかるものでした。
明治時代に「乾電池」が登場します。これを世界に先駆けて発明したのが、屋井先蔵(やい・さきぞう)です。

1863年(文久3年)、新潟県長岡に生まれた屋井は、時計店で働きながら電気の研究に取り組み、電池で動く「連続電気時計」を発明しました。これは、日本初の電気に関する特許とされています。
しかし、当時の「湿式電池」は手入れが必要なうえ、冬場や寒冷地では凍結するという課題がありました。
そこで屋井は、より扱いやすい電池の開発に取り組みます。

試行錯誤の末、炭素棒にパラフィンを含浸させる方法により、1887年(明治20年)に乾電池を完成させました。
電解液を用いた「湿式電池」に対し、液漏れしにくく、持ち運びやすい「乾いた電池=乾電池」の誕生です。

この乾電池は、日清戦争の際に寒冷地でも使用できることが評価され、広く知られるようになりました。屋井の事業は大きく発展し、「乾電池王」とも呼ばれました。
なお、日本における乾電池の特許第1号は高橋市三郎とされています。
屋井は1927年(昭和2年)に死去し、その後会社は存続しませんでしたが、乾電池の発明は現在の電池技術へと受け継がれています。

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