『無水銀アルカリボタン電池の安全性に関するお知らせ』
—輸入電池を使用される機器メーカーの方々へ

2017年2月17日
一般社団法人 電池工業会

アルカリボタン電池は、広く様々な機器に用いられておりますが、近年の無水銀化に伴い、海外メーカー品において、安全性において不十分な製品が見受けられております。
一般社団法人 電池工業会(以下 電池工業会)は、お客様の安全を最優先に考え、独自に安全性に関する調査と評価方法の検討を実施いたしました。

評価試験の概要:

本検討は、粗悪な無水銀アルカリボタン電池を判別する評価方法を見出すことを目的に

  • 対象機器:防犯ブザー(3個直列または4個直列)、LEDライト(3個直列または4個直列)
  • 電池:代表品種としてLR44(無水銀)

を対象として、

  • 試験方法:重負荷の過放電
  • 評価方法:試験後の放置における膨れ寸法の測定と開裂の有無を観察しました。

具体的な試験方法:

対象機器を想定した以下の試験を実施後、電池を取り出し、膨れ状況、開裂の有無の観察を実施しました(電池:無水銀LR44)。

  1. 防犯ブザー想定:
    4個直列で負荷36Ω×24h放電、及び4個直列使用の実機24時間放電。
    いずれも24時間放電後、電池を取り出し、経過観察。
  2. LEDライト想定:
    3個直列で負荷50Ω×24h放電、及び4個直列使用の実機24時間放電。
    いずれも24時間放電後、電池を取り出し、経過観察。

電池は一般的に購入できる電池を使用(日本メーカー品:2社、海外メーカー品:3社)。

‹上記放電試験の具体的な試験例›

市販の単5電池ホルダーを流用して、アルカリボタン電池3個直列または4個直列でホルダーに挿入する。接点までの隙間は導電性部材で調整する。事前に電池ホルダーの端子部分には36Ωまたは50Ω相当の抵抗をはんだ付けしておく。この状態で24時間放置し、試験後電池を取り外す。
【警告】
この試験は、開裂等の危険が伴うので、専門的知識を有する方が実施すること。また、金属製の缶等の中で行い、開裂時に内容物が飛散してもケガ及び火災にならないよう、十分に注意して実施すること。

評価結果:

  1. 実機での電池評価において、海外メーカー品の一部において、開裂を確認した。
    ★試験後、放置20日にて開裂(実機ブザー)
  2. 実機を模擬する試験条件(1)、(2)においても、同様な膨れ傾向、開裂発生を確認できたことから、本試験条件で実機模擬できると考える。アルカリボタン電池を組み込む機器の設計に当たっては、その用途に応じ、(1)(2)の試験をされることを推奨する。
    (1)試験後、放置20日及び30日にて開裂
    (2)試験後、放置7日及び30日にて開裂

【安全性試験結果】

試験結果

開裂件数/試験数

スクロールしてご覧ください

製造者 海外メーカー品A社 海外メーカー品B社 海外メーカー品C社 日本メーカー品① 日本メーカー品②
水銀含有 無水銀 無水銀 無水銀 無水銀 無水銀
4直重負荷放電 0/2 0/2 2/2 0/2 0/3
3直負荷放電 0/2 0/2 2/2 0/2 0/3
実機ブザー 0/1 1/1
実機ライト 0/1

試験条件

試験項目 試験条件
4直重負荷放電 防犯ブザー想定:4個直列で、負荷 36Ω×24h放電(1試験4個)
3直負荷放電 LEDライト想定:3個直列で、負荷 50Ω×24h放電(1試験3個)
実機ブザー 防犯ブザー プチアラーム2 生活防水型 超音タイプ PAW-20(24h後開放)(1試験4個)
実機ライト LED LENSER K2L コンパクトキーライトOPT-8202L(24h後開放)(1試験4個)

※本リリースの英語版は下記をご覧ください。

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