自動車用バッテリーの点検について
バッテリーの点検時の前に
一度使った電池などを再生したとされる電池(再生電池)が出回っております。再生電池は再生電池販売元が独自の技術で、元の電池を改造したことになりますので、メーカーの補償対象外となります。まずは外観のシールまたはブランド表示を確認してください。
点検時のポイント
液量点検
(液量点検については別途液量点検のポイントをご覧ください。)
接続端子部の緩み
(感電しないよう、手袋をはめ、手で緩みを確かめてください。緩んでいる場合には、スパナなどの工具で締めてください。)
清潔で乾燥した状態に保つ
(清拭には少し濡らした布または帯電防止機能をもつ布を用いて、静電気によるスパークを防止してください。)
点検時のご注意
- タバコなどの火を絶対に近づけないでください。
- スパナなどの金属工具による接触(ショート)でスパークをさせないよう十分に注意してください。
- ブースターケーブルの接続や充電器による充電は、風通しの良い場所で行ってください。
- バッテリーは分解、加工しないでください。
液量点検を励行してください
バッテリーは液量不足のまま使用していると、「爆発」することがあります。
- バッテリー液量不足
規定量以下の状態で使用を続けると、バッテリーの金属部分が露出し、劣化が進みます。 - 劣化が加速
劣化がさらに進むと、劣化部分でスパーク(火花)が発生することがあります。 - 内部のガスに引火する。
スパークがバッテリー内部に溜まっている水素ガス(充電時や自己放電時も発生します)に引火し、爆発することがあります。 - 液量が不足していると、バッテリー内に水素ガスが多量に溜まり、爆発が大きくなることがあります。
- 火気に注意してください。
イ) スパークは端子部とハーネスの緩みや金属工具によるプラス端子部とマイナス端子部,プラス端子部と車体の接触(ショート)など外部要因もあります。
ロ) タバコの火なども引火源となります。
自動車、バス・トラック、農機・建機に搭載している鉛電池の爆発件数
爆発件数の推移(2012‐2021年度)
液量点検マニュアル
1. なぜ液が減るのか
この現象は、主に充電中(走行中)に起こります。液が減ってしまうのは、バッテリーが持つ容量以上に充電エネルギーが加えられた時(過充電時)に、液中の水が酸素ガスと水素ガスに分解されてしまうからです。また、自然蒸発によって液が減ります。したがって、バッテリーの設置温度が高い場合や、バッテリーの使用頻度が高い場合(昼夜間点灯、保冷装置、パワーゲートなどの深い充放電用途)、また、バッテリーの寿命末期には、短期間で液が多く減ります。このように、バッテリーを使用時は液が減りますので、液量の日常点検が必要です。
アドバイス
万一、バッテリーの液量が「LOWER LEVEL」のままで使用してしまった場合は、内部金属部品の劣化や減液が加速され、爆発に至る可能性が高くなりますので、バッテリーを交換してください。
2. 液量点検のしかた
1. バッテリーの側面から点検する場合
アドバイス
インジケーターなどにより液量が確認できる場合でも、全セルの液量を確認してください。液量点検や補充できないバッテリーは必ず付属の取扱説明書に従ってください。
水で湿らせた布で液面線の周囲を清掃し、液量が「UPPER LEVEL」(最高液面線)と「LOWER LEVEL」(最低液面線)の間にあることを確認してください。乾いた布で清掃すると静電気により引火爆発するおそれがあります。
液量が「UPPER LEVEL」と「LOWER LEVEL」間の半分以下に低下している場合は、ただちに「UPPER LEVEL」まで精製水(市販のバッテリー補充液など)を補充してください。補充後は、液口栓をしっかり締めてください。
2. バッテリーの側面から点検できない。または、側面に「UPPER LEVEL」の表示がない場合
バッテリー上部にある液口栓を外して注液口をのぞき、液量点検をしてください。 スリーブに液量が届いていない時は、必ずスリーブの下端まで精製水(市販のバッテリー補充液など)を補充してください。
万一、「UPPER LEVEL」またはスリーブ下端を越えて補充してしまった場合は、「UPPER LEVEL」またはスリーブの下端までスポイトなどで抜き取ってください。抜き取った後は、重曹(重炭酸ソーダ)などで中和した後、多量の水で洗い流してください。または、バッテリーメーカーにご相談ください。万一、バッテリーの液量が「LOWER LEVEL」のままで使用してしまった場合は、内部の部品の劣化が急激に進行し補充して液面を正常に整えてもすぐに液減りしますので、頻繁に点検・補充してください。