2023年度事業報告書

  • 環境、再資源化への取り組みでは、海外の環境関連法・規制の動向に関する情報収集を行った。合わせて、国際電池リサイクル会議(ICBR)に参加し、各国のリサイクルに関する情報収集に努めた。
    産業用鉛蓄電池においては、広域認定制度を利用した産業用鉛蓄電池リサイクルの仕組みを維持し、回収量増に取り組んだ。また、エナジーウィズ社を含む広域認定は新規申請が必要との行政判断となったため、仕組み維持と並行して新規申請準備を進めており、申請書を行政へ提出、認定範囲などの項目について調整を進めている。
    リチウムイオン・ニッケル水素・ニカド電池においては、自ら充電式電池回収未実施の市町村にお住いの方は、JBRCの回収対象外電池(会員外、破損・膨れなど)の回収ルートがないことが昨年度判明しており、引き続き回収ルートについてWeb調査を実施したが、有効情報は見つからなかった。また、一般者のポータブル電源の廃棄について調査した結果、①家電量販店及び多くの市町村は受取り拒否、②大手業者では自主回収放棄、③一部は送料排出者負担で自主回収開始、④ポータブル電源を回収・リサイクルする協会が設立され、協会加盟の業者の製品を回収開始など確認できたが、課題が多い状況が続いている。
  • 標準化への取り組みとして、一次電池では、IEC国際規格(性能、安全性、輸送等7件)の改訂審議及び新規制定を推進した。日本提案を規格化するため国内外の関連団体と連携し、幹事国としてリーダーシップを発揮した。なお、年2回開催のIEC国際会議のうち、5月開催会議は、ホスト国として京都で開催した。
    また、IEC規格開発のレベルアップのため、エキスパート教育を継続して開催した。
    「乾電池使用機器の電池室・接点 安全設計ガイドブック」、「一次電池安全確保のための表示に関するガイドライン」の改正を完了した。
    二次電池のうち、鉛蓄電池のIEC規格では,補機用鉛蓄電池(EV、HEV用)のIEC新規規格制定において、日本は主要メンバーの一翼を担い委員会案を審議し、修正を申し入れている。電池の識別表示規格の改正作業では,日本提案を規格に入れ込むべく議論を誘導している。国内のJIS規格では、船用鉛蓄電池の規格改正作業を実施した。また、SBA規格は、5件改正作業が終了した。
    ニカド・ニッケル水素電池及びリチウム二次電池の国際規格の対応として、次の規格を対象に、日本代表としてIEC会議に参画し、標準化を推進した。対象の規格は、リチウムイオン・ニカド・ニッケル水素電池の民生用及び産業用リチウム二次電池の性能・安全性規格、環境配慮に対応するリユースガイダンス、カーボンフットプリント(CFP)算出に関する規格。非駆動用車載LIBの性能に関わるIEC規格を推進し、ISが発行された。
    また、ダブルスタンダードを避ける為、米国規格(ANSI)のIEC規格への整合を推進中。
    民生用ニカド及びニッケル水素の性能に関わるJIS規格の改正に着手し、成果物(原案など)を提出した。
    産業用リチウム二次電池の安全性に関わるJIS規格の改正を推進し、公示され完了した。
  • PL、安全への取り組みとして、一次電池では、会員個社が管理する重要クレーム情報をまとめ、ホームページ内の 一次電池の主なトラブル項目と原因 に関する内容を更新、電池使用者への啓発を図った。
    二次電池では自動車電池の爆発情報を収集し、国土交通省自動車整備課,全日本トラック協会,東京都トラック運送事業協同組合連合会に報告し爆発事故削減啓発活動を継続した。特に今年度は異常使用による硫化水素発生事故に対する事故防止啓発活動として「硫化水素事故防止啓発リーフレット」の作成に取り掛かり、RV協会と協同で啓発活動に対する打ち合わせを開始した。
    小型充電式電池では、スマートフォン・ノートパソコン・モバイルバッテリー・電動アシスト自転車・充電式電気掃除機・ポータブル電源の市場事故情報の把握と共有を継続した。
  • 蓄電池設備認定・講習事業の取り組みでは、認定事業は監督官庁の指導のもとで、非常用蓄電池設備の技術基準を遵守し、蓄電池設備の性能と品質の維持、安全性の確保を図り、国内外の企業並びに同製品について、公正で透明性の高い認定業務を実施した。
    講習事業は、蓄電池設備整備資格者の新規受講者講習(本講習)を11地区12会場、資格取得後5年毎に受講する再講習を11地区15会場で開催することを計画し、政府及び各都道府県のガイドラインに則り運営した。また、再講習は、22年度に続き23年度も在宅受講(在宅で自習形式の講習)を設け、会場で受講できない人の受け皿として実施した。
  • ボタン電池回収処理事業の取り組みでは、協力店数微増のなか、回収量は微減。また、回収電池のサンプリング調査を行い、空気亜鉛電池、酸化銀電池、アルカリボタン電池の水銀含有状況を調査した。
  • 広報活動としては、23年度は12月に神戸で電池フェスタを開催。又、キャンペーン、PR活動を強化し、主要3テーマを中心に消費者に向けて「電池の安全で正しい使い方」や、「回収・リサイクル」について啓発活動を展開した。
    主要3テーマ:
    •コイン形・ボタン形電池の乳幼児誤飲事故防止
    •自動車用バッテリーの定期点検・買替促進
    •小型充電式電池の回収・リサイクル、廃棄時の注意喚起
    また、21年度から実施したキャンペーンである “でんち川柳コンテスト”を23年度も実施し、約2,700名様の多くの方から応募を頂いた。電池について考えていただく機会として2024年度以降も継続していく。