2021年度事業報告書

  • 環境、再資源化への取り組みでは、海外の環境関連法・規制の動向に関する情報収集を行った。国際電池リサイクル会議(ICBR)についてはコロナ禍のため出張中止となったが、オンライン登録で情報収集に努めた。
    産業用鉛蓄電池においては、広域認定制度を利用した産業用鉛蓄電池リサイクルの仕組みを維持し、回収量増に取り組んだ。
    再資源化の取り組みでは、充電式電池においては、海外からの問合せに対応し、「小型充電式電池の識別表示ガイドライン 第8版」の英訳版を発行した。充電式電池内蔵機器の使用済み電池の回収方法、回収先の表示・記載の調査、さらに市町村の充電式電池の分別収集調査を行い、回収されない充電式電池が多くあることが明確になった。BAJ ホームページに、購入時に使用済みになった場合の回収記載の確認をするよう消費者への注意喚起を掲載した。
  • 標準化への取り組みとして、一次電池では、IEC国際規格(性能、安全性、輸送等8件)の改訂審議及び新規制定を推進した。日本提案を規格化するため国内外の関連団体と連携し、幹事国としてリーダーシップを発揮した。また、IEC規格開発のレベルアップのため、エキスパート教育を継続して開催した。さらに、JIS規格(通則及び個別製品仕様)の改正審議を開始し、2021年11月に規格原案作成し提出した。
    二次電池のうち、鉛蓄電池のIEC規格では,自動車用電池の寸法規格に日本の規格を織り込んだ規格2件が完成した。昨年度始まった補機用鉛蓄電池(EV、HEV用)のIEC規格開発では、日本は規格作成主要メンバーの一翼を担っている。電池の識別表示規格の改正作業では,日本メンバーは3名交代し、国際標準化人材の育成に努めている。国内のJIS規格では、ベント式据置鉛蓄電池及び二輪車用鉛蓄電池の規格改正作業が終了、前者は2022年3月、後者は2022年5月に公示完了した。また、SBA規格は、6件改正作業が終了した。
    国際会議の対応として、リチウムイオン・ニカド・ニッケル水素電池における環境、リユースなどの新たな分野で規格作成に、リーダーとして推進した。新規格のカーボンフットプリント算出方法(CFP)規格においては、規格作成WGに参画し、主要メンバーとして推進中。
    産業用ニッケル水素電池の安全に関わるJIS規格を推進し、公示を完了した。また、米国のANSI、IEEEの両規格のIEC規格への整合を推進した。
  • PL、安全への取り組みとして、一次電池では、重要クレーム情報のまとめを行うとともに、ホームページ内の 一次電池の主なトラブル内容と原因、一次電池・携帯電灯の安全で正しい使い方、乾電池・リチウム電池の処理とリサイクル に関する内容を更新し、使用方法の啓発を図った。
    二次電池では自動車電池の爆発情報を収集し、国土交通省自動車整備課,全日本トラック協会,東京都トラック運送事業協同組合連合会に報告し爆発事故削減啓発活動を継続した。特に今年度は異常使用による硫化水素発生事故に対する事故防止啓発活動の方向性を定めた。
    小型充電式電池では、電池の正しい使い方に関する啓発資料の見直しを行い、スマホ・PC・モバイルバッテリー・電動アシスト自転車・充電式電気掃除機・ポータブル電源の市場事故情報の把握と共有を継続した。
  • 蓄電池設備認定・講習事業の取り組みでは、認定事業は監督官庁の指導のもとで、非常用蓄電池設備の技術基準を遵守し、蓄電池設備の性能と品質の維持、安全性の確保を図り、国内外の企業並びに同製品について、公正で透明性の高い認定業務を実施した。
    講習事業は、蓄電池設備整備資格者の新規受講者講習(本講習)を10地区11会場、資格取得後5年毎に受講する再講習を12地区17会場で開催することを計画し、政府及び各都道府県のガイドラインに則り運営した。また、再講習は、新たに在宅受講(在宅で自習形式の講習)を設け、会場で受講できない人の受け皿として実施した。
  • ボタン電池回収処理事業の取り組みでは、協力店数微増のなか、大きく回収量が増加した。また、回収電池のサンプリング調査を行い、空気亜鉛電池、酸化銀電池、アルカリボタン電池の水銀含有状況を調査した。
  • 広報活動としては、コロナ感染影響のためイベント活動が制限されたが、キャンペーン、PR活動を強化し、主要3テーマを中心に消費者に向けて「電池の安全で正しい使い方」や、「回収・リサイクル」について啓発活動を展開した。
    主要3テーマ:
    •コイン形・ボタン形電池の乳幼児誤飲事故防止
    •自動車用バッテリの定期点検・買替促進
    •小型二次電池の回収・リサイクル、廃棄時の注意喚起
    また、新規のキャンペーンとして “でんち川柳コンテスト”を開始し、約2,700名様の多くの方から応募を頂いた。電池について考えていただく機会として2022年度以降も継続していく。