2022年度事業報告書

  • 環境、再資源化への取り組みでは、海外の環境関連法・規制の動向に関する情報収集を行い、書籍「世界の電池 環境規制の状況(第12版)を発行した。国際電池リサイクル会議(ICBR)についてはコロナ禍のため出張中止となったが、オンライン登録で情報収集に努めた。
    産業用鉛蓄電池においては、広域認定制度を利用した産業用鉛蓄電池リサイクルの仕組みを維持し、回収量増に取り組んだ。また、エナジーウィズ社を含む広域認定は新規申請が必要との行政判断となったため、仕組み維持と並行して新規申請準備を進めている。
    再資源化の取り組みでは、回収困難な充電式電池(JBRC回収対象外、ラミネート外装、故意に取り出された及び損傷のある電池)の処置に関するアンケートを主にBAJ 賛助会員の充電式電池回収・処理会社に実施した。事業者・自治体からの引取り可能な業者は存在するが、一般者(個人)からの引取り可能な業者は存在しない結果であった。充電式電池の独自回収未実施の市町村にお住いの一般者からの排出困難が明確になり、BAJ ホームページに注意喚起を掲載した。
  • 標準化への取り組みとして、一次電池では、IEC国際規格(性能、安全性、輸送等8件)の改訂審議及び新規制定を推進した。日本提案を規格化するため国内外の関連団体と連携し、幹事国としてリーダーシップを発揮した。また、IEC規格開発のレベルアップのため、エキスパート教育を継続して開催した。
    「乾電池使用機器の電池室・接点 安全設計ガイドブック」の素案作成を完了した。
    二次電池のうち、鉛蓄電池のIEC規格では,補機用鉛蓄電池(EV、HEV用)のIEC新規規格制定において、日本は主要メンバーの一翼を担い委員会案を審議し、修正を申し入れている。電池の識別表示規格の改正作業では,日本提案を規格に入れ込むべく議論を誘導している。国内のJIS規格では、二輪車用鉛蓄電池の規格改正作業が終了、2022年5月に公示完了した。また、SBA規格は、12件改正作業が終了した。
    国際会議の対応として、リチウムイオン・ニカド・ニッケル水素電池における環境、リユースなどの新たな分野で規格作成に、リーダーとして推進した。新規格のカーボンフットプリント算出方法(CFP)規格においては、規格作成WGに参画し、主要メンバーとして推進中。
    産業用ニッケル水素電池の安全に関わるJIS規格を推進し、公示を完了した。また、米国のANSI、IEEEの両規格のIEC規格への整合を推進した。
    産業用リチウム二次電池の安全性に関わるJIS規格の改正に着手し、成果物(JIS原案など)を提出した。
    非駆動用車載LIBの性能規格の投票用委員会原案(CDV)が可決され、国際規格(IS)発行に向け前進した。
  • PL、安全への取り組みとして、一次電池では、会員個社が管理する重要クレーム情報をまとめ、ホームページ内の 一次電池の主なトラブル項目と原因 に関する内容を更新、電池使用者への啓発を図った。
    二次電池では自動車電池の爆発情報を収集し、国土交通省自動車整備課,全日本トラック協会,東京都トラック運送事業協同組合連合会に報告し爆発事故削減啓発活動を継続した。特に今年度は異常使用による硫化水素発生事故に対する事故防止啓発活動として「蓄電池の安全確保のための表示ガイドライン」に事故発生に対する警告表示を追加(追補)、またRV協会との協同で啓発活動に対する打ち合わせを開始した。
    小型充電式電池では、スマホ・PC・モバイルバッテリー・電動アシスト自転車・充電式電気掃除機・ポータブル電源の市場事故情報の把握と共有を継続した。
  • 蓄電池設備認定・講習事業の取り組みでは、認定事業は監督官庁の指導のもとで、非常用蓄電池設備の技術基準を遵守し、蓄電池設備の性能と品質の維持、安全性の確保を図り、国内外の企業並びに同製品について、公正で透明性の高い認定業務を実施した。
    講習事業は、蓄電池設備整備資格者の新規受講者講習(本講習)を11地区11会場、資格取得後5年毎に受講する再講習を11地区15会場で開催することを計画し、政府及び各都道府県のガイドラインに則り運営した。また、再講習は、21年度に続き22年度も在宅受講(在宅で自習形式の講習)を設け、会場で受講できない人の受け皿として実施した。
  • ボタン電池回収処理事業の取り組みでは、協力店数減少のなか、回収量は横ばい。また、回収電池のサンプリング調査を行い、空気亜鉛電池、酸化銀電池、アルカリボタン電池の水銀含有状況を調査した。
  • 広報活動としては、新型コロナ感染影響のためイベント活動が制限されていたが、22年度は3年ぶりに電池フェスタを開催。又、キャンペーン、PR活動を強化し、主要3テーマを中心に消費者に向けて「電池の安全で正しい使い方」や、「回収・リサイクル」について啓発活動を展開した。
    主要3テーマ:
    •コイン形・ボタン形電池の乳幼児誤飲事故防止
    •自動車用バッテリの定期点検・買替促進
    •小型二次電池の回収・リサイクル、廃棄時の注意喚起
    また、昨年初めて実施した新規キャンペーンである “でんち川柳コンテスト”を22年度も実施し、約2,700名様の多くの方から応募を頂いた。電池について考えていただく機会として2023年度以降も継続していく。