電池指令と改正WEEE及び改正RoHS指令との関係

本文書は、電池指令(2006/66/EC)と改正WEEE指令(2012/19/EU)及び改正RoHS指令(2011/65/EU)との関係を明確にしようとするものである。

改正WEEE指令(2012/19/EU)、第8条2項には、環境に有害な影響を与える可能性のある部材は、回収された電気・電子機器(以下、機器と称す)を本格的に処理する前に取り外し別処理する事が義務化されている。同指令の付録書Ⅶに、これらの部材がリストされており、電池もこのリストに含まれている。従って、電池はWEEE指令に基づく処置に先立って取り外され、その後取り外された電池は、電池指令に従って処理される。

また、改正RoHS指令(2011/65/EU)では、前文(14)項に、以下の記載があり、電池指令が、優先して適用されることが明記されている。

(14) ) この指令は、安全衛生上の要件及び特定のEUの廃棄物管理法、特に電池及び廃電池に関する2006年9月6日付け欧州議会及び閣僚理事会の指令2006/66/ECと規則(EC)No850/2004を侵害することなく適用される。

RoHS指令からの電池の適用除外については、2006年9月26日発行の電池指令(2006/66/EC)でも、前文(29)項に以下の様に記載されている。

(29) 2003年1月27日付けRoHS指令(2002/95/EC)は、機器に使用される電池には適用されない。

なお、廃電気・電子機器からの電池の取り外しについては、電池指令(2006/66/EC)の第12条3章にも以下の記載がある。

(3) 電池/蓄電池がWEEE指令(2002/96/EC)に基づき、廃電気・電子機器と一緒に回収される場合、電池/蓄電池は、回収された廃電気・電子機器から取り外されなくてはならない。

以上より、当電池工業会では電池とWEEE指令/改正RoHS指令との関係は、以下の解釈をしている。同様の解釈が、欧州委員会コミッション発行の「Question and Answers on the Batteries Directive(2006/66/EC)」の第4項に記載されている。

  1. 改正RoHS指令で規制される機器への販売の制限は、規制物質(水銀、鉛、カドミウム等の6物質)を含有する電池に対しては、機器に組込まれた電池も含め、適用されない。
  2. WEEE指令は、同指令の対象となる廃機器と共に回収された(組込、付随、同梱などによる)使用済電池にも適用され、それらの電池は、廃機器を回収後、廃機器から事前分離することが義務となっている。また、廃機器から分離された後の電池の処理は、電池指令に則り実施する必要がある。
  3. 電池指令、第4条の規制の範囲内にある電池は、機器に使用することができる。

「電池」の定義:
電池工業会では、改正WEEE指令、改正RoHS指令及び電池指令で定義される「電池」とは、従来から、法的に、取り外し容易化、回収及びマーキングの義務を課せられている電池単位のものを言うと解釈している。

* 改正RoHS指令:電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関する指令 (2011/65/EU)
* 改正WEEE指令:廃電気・電子機器指令 (2012/19/EU)