

一般社団法人 電池工業会 会長 本間 充 (三洋電機株式会社 代表取締役 副社長執行役員) |
平成24年・年頭のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。
平成24年の新春を迎えるにあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
昨年の回顧と今年の展望を申し上げます前に、日頃より電池工業会の発展と成長にご厚情を賜っております関係各位に対しまして心より感謝を申し上げます。
昨年は、2008年秋のリーマンショック以後、長らく低迷していた日本経済も春の訪れと共に漸く回復の兆が見え始めた矢先に東日本大震災が発生し、それ以降、福島原発事故の影響拡大、欧州の金融不安や超円高の継続、タイの大洪水とあまり良い事が無かった世の中でした。唯一たいへん明るいニュースだったのは、なんと言っても7月の「なでしこジャパン」のワールドカップ優勝だったと思います。最後まで諦めない選手たちのプレーに、忘れかけていた日本人の誇りと底力を感じた方も少なくなかったと思います。私も、ひとりの日本人として、久しぶりにこみ上げてくる感動を味わせていただきました。
さて、東日本大震災発生時には、会員企業の皆様方には、震災対応でご多忙な中、乾電池を始め様々な支援物資、義援金等の提供にご尽力いただき、誠にありがとうございました。昨年、電池工業会としての支援物資の提供実績は、乾電池:135万個、二次電池:72万個、懐中電灯:12万1千個、ランタン:5千台、蓄電システム:20台となっております。また、他に、義援金あるいは食料品等のご提供もあり、支援を実施しております。
今回の大震災で私が非常に重要と感じたことが2点あります。1点目は、「企業の事業継続性」への対応です。被災で生産がストップした場合のリスク対応として、部材の確保は言うまでも無く、事業再開にはエネルギーの確保も非常に重要である事、また、顧客への供給責任を果たす為には、自社以外の代替生産の確保もオプションとして検討しておく必要があると思いました。
2点目が、「社会インフラにおけるバックアップ電源としての電池の重要性」です。今回の震災や電力不足による停電で、その重要性が再認識された事と思います。とりわけ、停電に対応した電灯用の電池や病院の様々な医療機器、交通信号機、企業や自治体の中枢コンピューターなどの数時間のバックアップ用電池は、特に重要と再認識されております。今後、これらの機器へのバックアップ電池の装備率アップは、重要な社会インフラ確保の観点より、業界として積極的に推進していきたいと思います。
次に、最近の電池市場の動向ですが、平成23年1〜10月の販売実績で見てみますと、
全電池合計では、数量が前年比98%、金額では同95%と景気低迷の影響もあり残念ながら数量、金額共に減少傾向となっております。電池系別に前年比を見てみますと、一次電池は、懐中電灯用などの震災特需もあり、前年比が、数量で100%、金額で106%とこれまで比較的良好です。一方、小形二次電池は、海外メーカーとの競争も激化しており、前年比が、数量で95%、金額も88%と前年よりさらに落ち込み単価下落の傾向も依然継続しています。これとは逆に鉛蓄電池は、前年比の数量で97%ですが、産業用等の伸びが大きく、金額では105%と増加しています。
以上の様な昨今の電池市場の状況ですが、今年は、3.11の大震災以降、国内での大形蓄電池への注目度は、がらりと変わりました。原発事故以降、再生可能エネルギーへの転換の議論が盛んに行われる様になり、太陽光や風力などで発電した電力を蓄電し平準化する事ができる大形蓄電池の市場創出が、スマートシティー建設などのプロジェクトも含め国内でも大きく見込める様になって参りました。海外では大形蓄電池システムは、スマートグリッドを導入した各国のスマートシティー建設などで既に先行して設置されており、その需要は、年々急速に増加しております。2020年には、大形蓄電池の市場規模は、保守的に見積もっても自動車関連の1.5兆円を上回る2兆円規模に達するとの予測がなされます。また、この市場を3〜5兆円と予測する研究機関もあります。従い、2020年の全電池市場は、大形蓄電池市場にスマートフォーンやタブレットPC用途など既存民生電池市場とHEV・EV等の自動車関連市場を加えると総額5〜8兆円ほどに成長すると見込まれ、心強い次第です。
一方、これら成長分野においては、海外の企業との国際競争も激化しております。既に、我々は、民生用電池の分野では、技術流出、円高や法人税のハンディーにより、競争は、依然劣勢の状態を強いられております。
電池事業が、半導体や液晶の二の舞にならないためにも、新成長分野である「自然エネルギー創出を含む大形蓄電システム」や「HEV・EV」分野では、企業が、国際競争力を維持できる様、多くの政府の支援策を期待しています。特に、初期の段階では、購入者側への補助を潤沢に行い、ある程度の市場規模の構築を促すことが重要と考えます。
政府にはスピードを持ってこの分野への支援策の導入を期待しています。
勿論、我々企業側も、あらゆる面で日々努力を怠る事無くグローバル競争に勝てるよう実力をつけていく必要があります。
続いて、電池工業会の活動状況について、少しご紹介いたします。
大形蓄電市場に対しては、今後の健全な成長を図るため「電池の安全性の確保」に今、力を入れております。電池が大形化しており、もし発火事故等が起こった場合、重大事故に繋がる可能性が高い事が容易に想像できます。従い、より安全性の高い電池システムを供給できるよう、昨年7月に電池工業会規格であるSBA規格を発行しました。この規格は、路上走行用途を除く大形蓄電全用途をカバーするものになっています。
今後、電池工業会では、この規格を活用し第三者認証も視野に、より安全性の高い電池システムを市場に供給できる様、努力して参ります。さらに、この規格を現在作業中のIEC規格へできる限り反映させ国際規格としていく所存であります。
最近、輸送規制関係では、リチウムイオン電池及び同電池を搭載した機器の航空輸送を危険物として規制する動きがありますが、リチウムイオン電池の発展を阻害することにもつながるものであり、政府関係者にもご支援をいただき、業界としても対応を行っています。
再資源化に対する活動では、小形二次電池についてはJBRCを中心にリサイクル事業を継続して推進しております。 昨年度は、3月の東日本大震災の影響もあり、総回収量1,234トン、前年比91%の結果で終了しましたが、今年度は、10月まで前年比104%で順調に推移しています。また、ボタン電池は、アルカリ・ボタン電池、酸化銀電池、空気亜鉛電池の3種類をボタン電池回収推進センターを中心に回収し、昨年度の回収実績は、前年比で184%の1.94トンでした。今年度も11月まで前年比145%と順調に回収量を伸ばしています。鉛蓄電池については、「自動車用鉛蓄電池新リサイクルシステム」について、ここ数年にわたり鉛蓄電池再資源化協会(SBRA)を中心にスキームの構築を進めてきましたが、広域認定取得後、本年(2012年)4月より鉛蓄電池再資源化協会(SBRA)で運用を開始する予定になっています。
広報に対する活動では、リサイクル活動拡大に呼応する形で、昨年は従来からの「電池は正しく使いましょう」に新たに「電池を使い終わったら・・」を加え、リサイクルに対する情宣活動を展開しました。「でんちフェスタ」は従来の東京地区、関西地区での開催に加え、名古屋地区での開催をスタートしました。また、「電池教室」は年間全国30か所以上での開催に拡大しています。 これら活動を通して、消費者の皆様に「電池を知っていただく」ことの情宣活動を活発に行っています。
過去40年間で世界の人口は、35億人より2倍の70億人となりました。国連では、2050年には、93億人に達すると予測しています。従い、今、人類にとってエネルギーと食料の確保は、最重要課題になってきています。エネルギーも食料も増産が重要ですが、限りあるこれらの資源の利用効率をアップする事もさらに重要となります。電池の利用は、技術革新を通じてエネルギーの利用効率アップに大きく貢献できると確信します。最近では、ハイブリットカー用の二次電池や自動車のアイドリングストップ用の鉛電池の開発も身近な良い例です。電池工業会では、この社会的要望に応え、未来社会に貢献できるよう、これからも会員各社一丸となり全力で取り組んで参る所存です。
今後とも、関係省庁ならびに関係各位のご指導、ご支援をお願い申し上げます。最後に、会員会社様の益々のご発展と、皆様方のご多幸をお祈りし、年頭の挨拶とさせていただきます。
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